日本バイオメカニクス学会 会長
ごあいさつ  桜井伸二(中京大学スポーツ科学部)

2021年度から新しい役員体制となりました。会長の桜井伸二です。

わが国ばかりではなく世界中で自然災害が猛威を振るう年が続き、「かつて経験したことのない」「想定外」「前代未聞」などの言葉が毎年のように使われてきました。COVID-19が世界をさらに大きく変えています。学術研究、教育、そして学会活動も大きな影響を受けています。日本バイオメカニクス学会ももちろん例外ではありません。今が特別大変な時期のようにも感じます。しかし、おそらくそうではなく、これからは「平穏な年」などないのではないかと思います。

日本バイオメカニクス学会は「キネシオロジー研究会」を母体としています。1957年の日本体育学会大会において、「身体運動学的なもの」に興味を持つ20名余の人々によって始められた小さなグループが、今では会員数1000名を超える学会になりました。日本体育学会(現日本体育・スポーツ・健康学会)の一つの専門領域としての側面は保ちながら、1978年に日本バイオメカニクス学会に改称され、独立学会となりました。

前会長の深代千之氏の任期であったここ数年で、学会の機構や運営に大きな改革が行われました。役員選出のルールの改変、それに伴う役員の刷新と若返り、学会誌「バイオメカニクス研究」の編集方針・編集委員・発行方法の見直し、「彗ひろば」という新しい形式による研究会の創設、隔年開催であった学会大会の毎年開催への変更、などです。

しかし、「キネシオロジー研究会」としての発足以来、この日本バイオメカニクス学会とその会員が研究の主対象とするものは、一貫して人間・ヒトであり、そしてその動きです。とても多面的で複雑な問題ばかりを扱うことになります。特に、発育発達・加齢やトレーニング、すなわちヒトがどう変わるか、ヒトをどう変えられるかを研究対象とするような場合には、とりわけ時間のかかる粘り強い取り組みも求められます。

この困難な時期にあっても、私たちが興味を抱くこの最高にエキサイティングな研究対象に少しでも踏み込むべく、会員の皆さんと共に力を合わせていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。